私の好きなアルバム紹介
林愛玲『山歌小調民謡風』
01.馬車夫之戀 02.大醉侠 03.茶山姑娘(※) 04.天上人間 05.想親娘 06.熱[火共][火共]的太陽 07.大清早 08.採茶僕蝶 09.木蘭従軍(※) 10.四大對 |
11.野Y頭(※) 12.白雲下的牧歌 ※は符暁慧との合唱 |
|
跟隋我唱片演芸出版、瑞華唱片企業発行、1996年 |
元来私は山をテーマにした歌が好きだといえます。ここで紹介する林愛玲の『山歌小調民謡風』もその一つといえます。私は台湾山地情歌も好きですが、『山歌小調民謡風』はどちらかといえば中国の山歌といえるでしょう。中国の山歌一般にいえることは、どちらかといえば流行性のものではなく、ローカル色が強い中国民謡・民歌風のものが多いといえる。現在ではマレーシア華人の歌手が比較的多く歌っているのではないかと思います。 林愛玲は童星出身の歌手ですが、『山歌小調民謡風』は16歳に成長してのものです。彼女の特徴であるストレートで歯切れのいい歌が功を奏した素晴らしい出来のアルバムです。しかしながら、私が知る限り彼女の個人アルバムとしてはこれが最後です。素晴らしい歌手なので残念でなりません。 以下、順を追って聞いた印象を簡単に述べます。 「馬車夫之戀」は馬の鳴き声を交えたイントロで始まる。アップテンポの快適な曲でストレートで歯切れのいい声がテンポよくぐいぐい引っ張る。やや高めの声が息をつかせぬ感じすらあります。 中国民謡風のメロディで歌の乗りは抜群、さすが最初に持ってくるだけのことはあります。 「大醉侠」は周藍萍作曲の民謡風の曲で、ゆったりしたメロディ、次第にテンポを早めていくイントロ、ぐっと早まったところで、歯切れのいい歌がスタート、この展開が実に鮮やか、とても格好がいい。途中にゆっくりとした語りの部分があったりと、途中でのテンポが大きく変化、この変化の妙が見事でる。ストレートで歯切れのいい歌がコーダなしに一気に終結する。こういう曲を聞くとあらためて中国音楽の素晴らしさを再認識させられます。この曲は賀歳曲にもしばしば改編されるが、それを聞く度に曲の展開の鮮やかさにに感嘆させられるのである。 「茶山姑娘」は男声パートの林愛玲、女声パートの符暁慧の掛け合い、ストレートな男声と柔らかで滑らかな女声と、対照的な歌である。そうはいっても女声が引いているわけではなく対等に主張しているように聞こえるのである。 「天上人間」は天上の雰囲気を感じさせるメロディ、その後に続く快活なメロディのイントロ、歌のほうもやはり最後まで天上の雰囲気に満ちている。 「想親娘」はややゆっくり目の穏やかなメロディの曲、一貫し優しく想い入れたっぷりに歌っている。 「熱[火共][火共]的太陽」は明るく楽しいイントロで始まり、メロディなど民謡風というよりは、子供の歌というイメージである。彼女も子供になりきって楽しそうに歌っています。 「大清早」はニワトリの泣き声交じりのイントロが早朝の雰囲気を演出している。やや高い声のボーカルが息をつかせぬ感じで続く。それでもメロディそのものは変化に満ちて単調な感じはない。 「採茶僕蝶」は山地の光景を思い浮かべるメロディで、ほのかな哀愁を感じさせる。歌のテンポは早く、歯切れがよい。このテンポよく進行する様はとても快感で、途中ぐっとテンポを上げる箇所など一際効果的に感じられる。 「木蘭従軍」も男声パートの林愛玲、女声パートの符暁慧の掛け合いである。ゆっくりとした愁いのあるメロディのイントロの後、女声のちょっぴり甘く、ほんのりと愁いを漂わせた想い入れたっぷりの歌で始まる。男声はそれとは対照的に古典歌謡的雰囲気を感じさせる歌である。途中女声の長い語り風の歌が入った後、最後は合唱で大きく雰囲気を変えて、明るいメロディの歌で締める。このの部分はことのほか印象的である。 「四大對」は地方の民謡のようなメロディが大変印象的な曲である。所々高い声の裏声を交えた独特の歌い方が功を奏しているといえる。 「野Y頭」も男声パートの林愛玲、女声パートの符暁慧の掛け合いである。男声、女声それぞれ2パートずつ受け持つが、明るく、和やかな雰囲気でいっぱいである。曲の展開が自然であり、聞いていての心地よさは抜群である。 「白雲下的牧歌」はタイトルを見るまでもなく、イントロを少し聞いただけで牧歌的な雰囲気をすぐに感じ取れるに違いありません。清涼で美しい響きが魅力的な曲である。実に明るく晴れ晴れとしている。この歌手のリズムにマッチしているのか歌いやすそうである。それだけに聞くほうにとっても適度な心地よさがあります。 |