中華ポップスのリスナーの多くの人は香港や台湾など欧米化されたサウンドのポップスを聞いているに違いありません。このページでテーマにする福建歌謡は決してそのようなモダンなものではないためリスナーの絶対数は多くはないと思われます。しかし、いったんその魅力に取り付かれると深くはまり込むこと請け合いである。福建歌謡こそアジア独自のものといえるものであり、決して欧米の音楽の模倣ではありません。アジアの音楽の本質はポップスというよりは歌謡が基本であり、福建歌謡もそれらの一つと考えられます。
いまここで福建歌謡といいましたが、ではこの福建歌謡というのは何なのかというと意外にもはっきりしないのである。福建歌謡という語からいえば、マレーシア華人の福建語歌謡を指すものと思われますが、現地はどうか知らないが、我々日本人の間ではマレーシアのローカル華人のポップスは仮に福建語ではなく華語であっても福建ものと呼んでいるようである。この福建歌謡であるが、元来台湾歌謡がお手本になり発展したものといえよう。したがって、このページで取り上げるのはマレーシアのローカル華人歌手のポップスが主体になり、言語としては特に福建語に限定しません。当然ながら台湾歌謡との共通性も高いので一部の台湾歌手も対象と考えています。