私の好きなアルバム紹介

李嘉『[才龍]是爲著[イ尓][口拉]』

01.無縁的朋友
02.無情戀
03.愛[イ尓]敢嘸著
04.天公疼好人
05.[不/用]講女性無勇氣
06.南都夜曲
07 [才龍]是爲著[イ尓][口拉]
08.人生[上/下]拉OK
09.爲[イ尓]期待
10.眞情當作菜尾
11.望伊來疼痛
12.雙雁影
13.心茫茫
14.[父/巴][父/巴]是行船人
15.水車姑娘
天王企業有限公司発行、1990年
ここで紹介する李嘉の『[才龍]是爲著[イ尓][口拉]』は彼女の歌手としての素晴らしさが存分に発揮されているアルバムです。このアルバムの前に『都市・雙叉路』というのがあるが、彼女が歌手として広く認められたのは、おそらく『[才龍]是爲著[イ尓][口拉]』によってであろうと思われる。声よし、歌よし、選曲よしと3拍子揃っていて、当時13歳の彼女らしく、若く、ほんのり甘酸っぱい魅力がふんだんに溢れています。何はともかく一度でもいいから聞いてもらいたい。彼女のどこまでも可愛く天衣無縫な歌声にぞっこん惚れ込むこと請け合いです。

以下、各曲を聞いた印象を簡単に述べてみたいと思います。
「無縁的朋友」は適度なテンポでスムーズに展開する曲である。このアルバム全体を通じて感じることは彼女の声がとてもスムーズに出ていることである。もちろんこの曲でもそうであるが、どこにも無理がない感じとでもいいましょうか、この曲のイメージがアルバム全体のイメージを代表しているかのようである。このアルバム収録時の彼女は声のコンディションは絶好調であったのでないかと思うのである。
「無情戀」はややアップ気味のテンポで流れもスムーズかつ軽快な曲調である。歌声はシルキートーンとでもいいましょうか、上質な絹のような肌触りで耳に優しいのである。彼女の歌声はともすれば線が細い印象であるが、このアルバムではそれはあまり感じられない。それだけ喉のコンディションがよかったのであろうと思う。
「愛[イ尓]敢嘸著」はほんのり哀調を帯びたメロディ、数10年前の日本の清純派アイドルポップスを思い浮かべるような曲である。この曲では彼女の高音の美しさが存分に発揮されている。その点では代表曲「[才龍]是爲著[イ尓][口拉]」と同じようなことがいえるかと思うが、とても清潔感のある声が生かされていて、こちらのほうがより声のよさが生きているように思われる。この曲での彼女はほんのりと清潔感のある声がとても印象的である。
「天公疼好人」は「無情戀」と似たような印象である。ややアップぎみで快適なテンポで進行して、メロディのよさと相まって聴感的な快さは抜群である。ここでも彼女のシルキートーンのよさは存分に発揮されている。
「[不/用]講女性無勇氣」はややマイナーぎみの曲調で、ここでの彼女はゆったりと振幅をやや大きめに適度なメリハリを持たせて歌っている。
「南都夜曲」は古典的な名曲といったイメージである。以前から大好きな曲の一つである。多くの歌手が歌ってはいるが、いまひとつ食い足りないと思うことが少なくない。その中にあって彼女の歌はさほど技巧を駆使したものではなく、むしろとても素直な歌である。その点で好感が持てて満足度が高いと感じている。
「[才龍]是爲著[イ尓][口拉]」は彼女の代表曲といっていいぐらいに有名な曲である。このアルバムでは他にいい曲が多いので、この曲が傑出しているというわけではないが、オリジナル作品ということで代表作ということであろうと思う。この曲は多くの歌手がカバーしているが、高音部の繰り返しがしつこく聞き苦しいと感じることが少なくない。その点では李嘉の声は柔らかく、清らかなので全く問題ないので彼女に向いた作品ということがいえるのではないかと思う。
「人生[上/下]拉OK」はアップテンポで明るく軽快な曲、彼女の可憐な声がよく生かされ実に楽しいのである。‘[口阿・・・[上/下]拉OK、[上/下]拉OK’というサビの部分がとても印象的である。
「爲[イ尓]期待」は適度なテンポなのと曲調が滑らかなので聞きやすい。彼女もゆったりと気負いなく自然体で歌っている。
「眞情當作菜尾」ですが、何という可憐さであろう。アップテンポな華やかなサウンドと可愛い声が満ち溢れている。これでもかこれでもかとばかりのあどけなさの残る可愛い声の洪水である。サウンド自体も聴感的に心地よい。長いコーダが付けられているが、その理由も一度聞けばよくわかる。イントロからコーダまですべてが楽しいのである。
「望伊來疼痛」は滑らかでナチュラルな曲調である。この曲での彼女はごく自然な抑揚感と適度なメリハリを持たせたて、彼女としては歯切れのいい声で歌っている。
「雙雁影」は大変有名な曲で台語曲のスタンダードといってもいいであろう。それだけに多くの歌手が歌っている。そうそうたる名唱が多い中で、若い彼女は一歩の気後れもすることなく、持ち前のややあどけなさの残る清らかな声で歌っている。数多い名唱にも引けをとらない出来ではないかと思う。
「心茫茫」ですが、これ以降の3曲は一番最初のアルバム『都市・雙叉路』のLP、カセットに収録されていたものである。この曲であるが他にいい曲が多いのでやや劣る感じがするのは否めない。彼女はゆったりと歌っているが、クライマックスではことの他盛り上がる。
「[父/巴][父/巴]是行船人」はアップテンポで軽快な曲である。彼女の声もよく出ている。父とのしばしの別れの歌という割には悲しいという要素はほとんど感じず、聞いていてとても楽しいのである。広々とした大洋に旅立つ雰囲気は感じ取れる。
「水車姑娘」はマレーシア華人の歌で聞く機会が多い。曲自体もいま一つ面白くないということもあるかと思うが、歌のほうもいま一つと感じることが多い。それに対して彼女の歌は適度にアクセントを付け、メリハリを利かせている。アレンジのほうもリズムにメリハリがあってとてもいいのは特筆に値する。彼女の歌のよさとアレンジ面のよさが加わって、この曲としては抜群ではないかと思うのである。







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