私の好きなアルバム紹介
方婉真『彩虹』
01.甜言蜜語無値銭
02.彩虹 (方順吉・方婉真) 03.酷行 04.夢渡人生 (方婉真・[鳥β]兆邦) 05.我的感情博這厚 06.惜縁 07.惜縁 08.絶情風雨 |
09.孤単酒 10.世間 11.悲嘆的筒簫 12.運河追情夜 |
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三立影視、数位音楽(1995年) |
方婉真という歌手の存在を知ったのは、いあわゆる知名な台語歌手の歌がほとんど聞けるMP3サイトでである。一通りの歌手の歌を聞いてみたが、1人だけ飛びっきり素晴らしいと思った歌手がいた。それが方婉真であった。そこにあった彼女の歌は「姑娘一蕊花」1曲だけであったが、十分にその素晴らしさは感じ取れた。 彼女は童星歌手であったが、童星であるのを知ったのはずっと後のことである。実際それを知ったときはまさかと思った。それほどまでに彼女の歌のレベルは高く童星であることを感じさせないのである。 今回紹介するのは、新人排行榜7『彩虹』である。おそらく年令的には10歳前後であろう。聞いてみれば一聴してかなりの力唱タイプであることはわかる。いわゆるお子供ボイスのようなとところはほとんど感じないし、歌もひ弱なところはなく、表現も多彩で変幻自在である。要するに大人の歌手とほとんど同じだということである。 『彩虹』の完成した高度な技巧に裏打ちされたさまざまな歌を聞くにつけ、何も童星歌手としてはなどという条件をつけずとも、台語歌手としての私の評価はNO.1である。しかしながら、歌手としては短命で終わってしまった。返す返すも残念である。いつか復活して欲しいものである。 次に各曲を聞いた印象を簡単に述べてみます。 「甜言蜜語無値銭」はマレーシアのローカル華人が歌いそうな雰囲気との曲というか、ある種共通したものを感じる。そこが好みともいえる。多少のうなりぽさを交えたメリハリのある歌唱であるあたり、最初から彼女らしさを感じさせているといえよう。他の台湾の歌手とは一味違う雰囲気を感じさせる歌手だといえ、またそこがたまらなく好きな部分でもあるのです。 「彩虹」は高揚感が適度にあり、明るく希望に満ちた雰囲気が味わえる曲である。最初に方順吉が歌い始めるが、二人の歌唱は上手くバランスが取れていて息も合っていると思うが、方婉真の歌い方は彼女本来の歌い方から比べるとやや大人しく感じるので、どちらかというと方婉真のほうが方順吉の歌い方に合わせているという感じではある。タイトル曲にしてあるだけあって、曲は素晴らしい。彼女の高音は実に美しく、とにもかくにも楽しいと感じさせる歌である。 「酷行」はいかにも日本の曲という感じである。でも誰が歌っているかはまったくわからない。仮に誰が歌っていたとしてもまず好きにはなれない曲である。それにもかかわらず何度も何度も繰り返して聞いています。それほどまでの方婉真の歌は素晴らしいのである。それというのも彼女ならではの強烈なうなりを随所に交え、かなりのオーバーアクションといっていいほどにメリハリが強いが、変幻自在な歌唱が見事だからである。彼女の歌手としての特長が存分に発揮され文句の付けようなないのである。 「夢渡人生」は一転して情緒てき面で流麗な歌である。彼女は切々と歌っています。途中[鳥β]兆邦という男性歌手が加勢します。子供であってもこういう歌まで何なくこなすというのも並々ならぬ才能を感じさせるのである。 「我的感情博這厚」は少し弾むような語り口のような歌であり、多少ユーモラスでもある。メリハリの強さは相変わらずであるが、聞いていて自然に楽しくなるような雰囲気を持った歌である。 「惜縁」はどちらかといえば、切々とした味わいの曲かと思うが、彼女はここでもでもかなりの力唱タイプであることはわかる。こういう曲でも退屈させることなく聞かせるあたりはただものではないという感じがするのである。 「三講四不對」はややアップぎみの流れるようにスムーズで明るい曲調である。彼女の歌も滑らかで適度にアクセントを付け歌っている。高音の声の伸びといい、美しさといい特筆に価する。 「絶情風雨」はかなりのアップテンポの明るい曲調、のっけからうなりを交えている。曲のテンポと展開がスムーズで彼女のリズムにも合っていて歌いやすそうである。クライマックスでは十分に声が伸びきっていて素晴らしい。それだけに出来栄えは素晴らしいといえる。 「孤単酒」は大人が哀しみをこらえ1人で酒を飲んでいるというような歌ではないかと思うが、そのような心境は子供にわかるはずはない。それだけに彼女の歌は明るく屈託のないものだ。本来の解釈とは違う面もあるのかもしれないが、私としてはこのような歌い方が何よりも好きだ。 「世間」は、要するに世間の世知辛く冷たい風のようなものを歌っているのであろう。こういうのは年令的には不向きなのかも知れないが、歌を聞く限り見事な技巧を駆使して歌っており何も不足はない。 「悲嘆的筒簫」は悲嘆とタイトルに付くが彼女の歌は明るく力強い。クライマックスの盛り上げが見事である。鮮やかというしかない。並みの子供がこうも見事な技巧で歌えるものではない。もちろん私の好みでもある。 「運河追情夜」 は力強さと切々とした表現を鮮やかに使い分けている。所々うなりを交え彼女らしさを存分に発揮してしているといえよう。 MTVもあるが日本ロケである。すべてが関西でのものと思われるが、大体ほとんど同じ場所で撮影しているようである。彼女の可憐で生き生きとした表情が十分に楽しめます。 |
『彩虹』ビデオテープ